出版社:リブレ(BE×BOY COMICS)
★★
攻め:梅谷(茶髪表紙左)/受:鷲園(黒髪手袋表紙右)
潔癖症・大学生・陽キャ攻・令息受・仲良しカップル・美人受
二人が出会って付き合ってお互いの関係性を深めていくまでの過程が丁寧に書かれている作品。本作の攻受は思ったことを素直に言い合える仲のため、互いの心情がわかりやすいし変な駆け引きもないので比較的スムーズに仲良しカップルになっていくので読み手は安心して読めます。
気持ち程度にモブ女子が出てきたりするけどほぼ影響なし。
最初はどんなキャラなのかなかなかつかみづらい受だったけど、そういう人もいるんだろうなぁというくらいで慣れてくる。序盤の方は毒舌、というか言葉足らず過ぎで受の印象そんなに良くなかったんだけど攻と関わっていくうちにそこが和らいでいくのが良かったな。元々素直に自分の思ってることは発言していたので、だんだん攻に対しての愛情が言葉の節々に見えてきて可愛いなぁと思った。
攻もとても素直で今どき珍しいぐいぐい押していくタイプの男子。最初はチャラっぽい印象があって女には困ってません的な感じかと思ったんだけど、むしろ設定的には受の方が女子人気高くて。帯に「スパダリ気質の陽キャ男子」と記載があったがスパダリ感はあまりない。受の事めっちゃ愛しててとても寛容だけど、いわゆる金も名誉もスキルも飛び抜けているわけではない。むしろ受の方が実家金持ちだし箱入り令息だしな。
知り合うきっかけは本当に些細なことで現実にもありえそうなシチュエーション。そこから攻が受を好きになる過程がはしょられているため、ちょっと仲良くなって友達としてつるんでてノンケ男子(もしかしたらバイだったのか?)の攻がドキドキすることなんてあるんだろうか謎ではあった。令息である受は絵に描いたように世間知らずでファーストフードの食べ方すらわからない男子なんだけど、世間知らずゆえに大学生にもなってゲーセンで子供みたいにはしゃいだりする素直さと普段のぶっきらぼうな言動とのギャップ差に可愛いなって思うようになったのかなぁ?塵つもで徐々に愛情が増えていった感じ。
本作は決してギャグ漫画ではないのだけど所々そんな感じのテイストが出てくる。主に攻の心の声なんだけど、受の辛辣なセリフや予想を越えてくる態度がボケとなって攻のツッコミが入っていく。そんな二人のやり取りのテンポが良くておもしろい。本当に相性のいい二人だなぁと思う。
後半になるにつれて少し受の病気の事や家族のことでシリアスになっていきます。そんなに重たくはないのでご安心を。この辺りは神経質な問題でもあるし、受を語るうえで外せない主要の部分なので、何がきっかけで~どう解決していくのか?っていうことが順を追ってしっかり描かれているのでわかりやすい。
ーーーーーーーキリトリ線ーーーーーーー
以下より下からはネタバレを含む
↓↓↓↓↓↓↓
上下巻でセットでしっかり下巻まで読んだんだけど、家族との話し合いで両親の態度が不自然に感じられて残念だった。
母親は元々過保護→超過保護。同性愛反対というか理解ができないため攻に対して嫌味っぽい態度に。受に「普通の幸せ」になってほしいって気持ちが強かったのはわかる。大分昼ドラの姑みたいでヒステリックな言動や行動がこの作品の中ではかなり浮いていて違和感。
続いて父親の態度。母親がヒステリックになっている間ずっと「?」状態で自分ついていけてませんってなってるのが逆に何故?ってなる。そのくせ受の初恋相手(男)に対して自分の権力を使って強制的に引き離したりしてるのよ?それで自覚無しはちょっと無理がある。母親が一人で突っ走ってしまってたけど自分は受の理解者だ的な感じで、最後なんかいい人感出してくるのもすごく違和感だし、出番少ないけどやってることはあなたもひどいですよって感じ。
まぁ漫画的にはいろいろあったけど長い年月をかけてようやく家族的にもまとまりましてハピエン。なんだけど最後のこの和解の仕方がなんだか残念だったな。
さらにさらに最後の合体のシーン!潔癖症でずっと合体できなかった二人だったんだけど最後の最後に念願の合体をするの。初めてキスができたその日の夜にそのままヒートアップして止まらず最後までという展開。今までできてなかったことを考えたらそりゃそうなんだけど、今までが丁寧にじっくりと進めてきただけに急にそこで一気にすっ飛んじゃったもんだからなんだか合体見れてよかった!よりも、それなら無理に合体シーン入れなくてもよかったなって個人的には思った。この二人ならこの上下巻で合体しなくても十分だと思えるし、なんならキスできたシーンの方がめちゃめちゃ嬉しかったし。だってこの日も「今日は手、繋げそう?」って確認してるんだよ?これからも受のトラウマと向き合いながら少しずつ触れ合える距離を縮めていく二人の未来を妄想したかった!最後のストーリーは8か月時間がった後ではあるのでその間に距離を縮めていったんだろうけどそこもはしょられているから気持ちが追い付かず。
最終的に家族問題も潔癖症(実は強迫性障害)で合体できない問題も全部解決して、結婚する雰囲気で満ち溢れている幸せそうな二人ってので終わるの、なんか綺麗に締めましたって感出てるなぁ。ハピエンに越したことはないけどテーマにしていた内容が内容なだけに最後あっさりいっちゃうとそんなに重い問題でもなかったのかなぁって感じてしまう。そんなことないんだけどね。
合体は最後だけだけど付き合いだすのは早いのでそれまでにしっかりエロいことはあります。
受の「汚い自分に触れてほしくない」っていう問題があるから自分はそういう行為が一生できないんだろうなと諦めてしまっているの。攻は受が嫌がることはしたくないし、ヤらなくても十分受への愛しさで満たされているので強制はしないのよね。でもたまに抑えきれなくなるタイミングがあってその時にできるところまでをお互い確認しながら徐々に進めていくのよ。これがいい!欲望に負けず暴走しないのは本当に愛。受も自分の病気がなければもっと触れたいし触れられたいと思うようになって頑張るのよ、そこも本当に愛。合体って”制限”があると萌えるよなw
印象的なのは、受はいつも手袋つけてるんだけど初めてそれをとって直で手を握り合うところ。それだけで何ページにもわたってゆっくりと描かれてあるんだけどこの触るの?やだ!でも触りたいし触ってみたい!みたいな空気感がドキドキしたな。
受が攻と出会ったことで変わりたいと頑張っている姿は純粋に素晴らしいし、それをサポートし理解してくれる攻も本当に素晴らしい。作中ずっとブレることなく互いを想い合っている二人が見れます。
コメント