著者:座裏屋蘭丸
出版社:プランタン出版(Canna Comics)
★★
攻め:アポロ(茶髪)/受:フィー(表紙褐色肩タトゥー)
『性を謳歌する男娼達の楽園シャングリラに、試情夫として雇われたノンケのアポロ。しばらくは専属としての男娼のフィーに仕込まれることになるが、男の体を愛撫するのは初めて。どうにもぎこちなくて、奔放なフィーに翻弄されてばかりだった。だが、彼の思わぬ激情を目の当たりにし・・・』
複数プレイ・誘い受・堅物攻・男娼・過去に問題あり
理想的な楽園の中で繰り広げられる性と人間味のある感情の交差。
そもそも舞台が男娼ばかりの楽園のため誰かが固定の人とくっつくというよりはみんなで楽しく交わろうよっていう開放的な雰囲気。その割にはちゃんとビジネス面もあって無法地帯なわけでもないのが現実感がある。もちろんお客様とのプレイだが時には男娼同士や複数プレイなんかもある欲望のままに絡み合う場所。個人的には複数プレイ(4人以上)や誰でもwelcomeなビッチ気質が好みではないので本作は趣向に合わなかった。そのため2巻以降の購入がなかったので1巻のみのレビューとなる。
元々作者買いで座裏屋さんの描く身体ラインや人間味のあるストーリーが好きで本作も購入。物語にはしっかり芯があり面白いしそれぞれのキャラクターも魅力的で良い。単純に自分の趣向に合わなかったが座裏屋さんの魅力は本作でも十分発揮されている。
複雑な人間関係もあり登場人物が多いだけにストーリー展開としては期待大。座裏屋さんならではの妖艶さももちろんあるが他作品に比べて合体シーンは少なめ。(1巻までは)その代わり前義シーンが多く、最近合体すればOKみたいなBL風潮を考えると前義だけでここまで充実感を得られるのは作者の技量としか言いようがない。
ーーーーーーーキリトリ線ーーーーーーー
以下より下からはネタバレを含む
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しっかりいちゃいちゃするし通じ合ってる感じがするんだけど一線を越えることはない。基本ハッピーなんだけど上辺だけというか、フェイクというか、誰もが肝心なところは見ないふりしているような、面倒なことはあまり深く考えず楽しいことに逃げているというか、なんだかそんな印象を受けた。こちらとしては全体的に微妙な関係ばかり見せられて進んでいく。仕事だとそんなもんなのかなぁ。
攻はノンケで元既婚者。こちらもあくまで仕事として終始対応。元嫁とのいざこざで意外な過去の影があるものの好印象。試情夫として呼ばれたんだけどきっちりお金のために割り切って取り組むのでもちろん男には興味なし。びっくりすることはあるものの惹かれることはない姿勢がこの中では気持ちがいい。
受は幼少期がなかなかに悲惨で身体使っていくしかない環境で育っているため若干拗らせた大人になっている。攻のようなまともな大人、関わったことのないタイプ、女性に対しての紳士さだったり下心のない純粋な優しさに徐々に興味を持ち始める。
ストーリー性があり今後2人の展開がどうなるのか気になる作品。
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