著者:アマミヤ
出版社:コアマガジン(drap COMICS DX)

★★★

攻:洋介(表紙右)/受:柊(表紙左)

『高校生の洋介と柊は、幼少期のちょっとした事故から疎遠になっていた。
ところが、柊が祖母の家に居候するため、洋介の住む商店街へ引っ越してきたことから関係が復活!
最初は気まずかった洋介だけど、普段は冷たい態度の柊が、自分にだけ見せる表情や態度にキュンキュンしはじめちゃって!?』



大きな問題もなくさらっと読める作品。
気持ちと感情が追い付いてない感じや、とはいえ性にはしっかり目覚めていてちゃんと欲はある、そんな高校生らしい恋愛もの。

どこにでもありそうな日常だけど、それぞれのキャラクターがちゃんと独立していたのでストーリーの土台がしっかりしていた。個人的に商店街の特徴をよくとらえていると思った。昔からある地域密着型の商店街の雰囲気ってこんなんだよなぁ、とリアリティがあり親しみがわく。

なんでもない、ふっとした瞬間にみせる受の表情や動作に、少しづつ攻の気持ちが「可愛い・・・あれ?・・・好き」に変化していくのが丁寧に描かれている。キャラクターと同じ気持ちの流れで読み進めることができる。

あと普通に絵が上手いのも良かった。特徴的な線で、細かいところまでよく描きこまれている。顔の表情で唇を少し突き出すようなムッとした口の形や、口角だけニッと上にあげた口の形が多く、他にも頬をたびたび赤らめたりしちゃって、個人的には好きなのでたくさん見れて眼福だった☆



ーーーーーーーーーーーキリトリ線ーーーーーーーーーーー

以下より下からはネタバレを含む
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思ったよりも攻が陽気なキャラクターだったのもあり、とんとんとストーリーが流れて行ってしまった感がある。まぁ、だからこそ付き合えた二人だし、だからこそそんな攻が受に対してキュンキュンしたり欲情したりするシーンは萌えるんけど・・・

あと受のデレが弱い!人見知りや恥ずかしがりやという性格を加味してもツンが目立ってしまう。貴重な受の笑顔やデレも二言目には口調がキツくなったり、照れ隠しで手や足がでるのでキュンタイムが一瞬で終わるし継続しない・・・攻は攻でそんな受を陽気オーラで対応してしまうからますますキュンタイムが味わえない・・・もったいない・・・

この作品では攻が受に徐々に惹かれていく描写が丁寧に描きこまれているんだけど、受が攻を好きになる描写が少ないと思う。しいて言うなら幼少期の体験くらい?いまいちどこから受が攻のことを恋愛的に意識し始めて、成長した今の攻のどこに惹かれたのか知りたかったなぁ。

そもそもこんな地道に恋するペースで、果たしてこの二人合体するのか?なんて雰囲気だったんだけどちゃんと最後の最後には合体☆
しかもどっちが受け攻めするか話し合いしててリアルだったw
受は痛そうだからヤダって言うてて、攻は当然男役は自分だと思い込んでて。でも話し合ううちに攻が
「・・・じゃあ、オレがやろっかなー・・・」
って折れるのよ。そんな姿を見て受が
「・・・お前もいれられんのは嫌なんじゃねーのかよ」
って聞くわけ。その時返した攻のセリフ。

「お前にいれたいって気持ちの方がデカイだけだし」

って言うの。これはめっちゃギューーン!ときた。これは攻めでしょ!確かに!って思ったもん。
実際、受も納得して受けとめる気になったからねw
受ける方が身体的苦痛もあるけど愛があるならそれも受け止めるって、なんとなく受け側にフォーカス行きがちだけど。いやいや、待て待て。攻める方だって愛がなきゃたtn・・・
このセリフは受け攻めを決める場としては100パーセントの回答でしょう!ページぎりぎり感はあったけど
見たいものは見れたということで読後はスッキリ☆

あと最後に補足として。それぞれが飼ってるワンコとニャンコが恋のキューピッドしてて半端ない。そして悶えるくらいカワいい。


学生の恋が始まる1シーンを見ている感じなので、とてつもない印象を受けるというよりは、この二人は今後もこんなペースで仲良くいちゃいちゃするんだろうなぁ。と想像して、良かった良かった!と読み終わる漫画だと思う。